西欧科学は狂っている
334243 日本人の可能性〜近代科学の限界を明示した南方熊楠
 
小平健介 ( 40代 埼玉県春日部市 専門職 ) 18/03/21 AM02 【印刷用へ
明治時代に欧米留学し、その後の日本において地位や名誉を得た人物は多いが、南方熊楠のようにそれには目もくれず、専門の生物学だけでなく、民俗学や宗教学など多様な視点から欧米の近代科学の限界を明示した人物はほとんどいないだろうと思う。

近代科学が事物の因果関係を拠り所にしているのに対して、我々日本人は切り取られた因果関係だけでは何か不整合な感覚だったり、納得できない感覚がある。

南方熊楠のように、日本人には近代科学を超える意識があると思う。これは大いなる可能性ではないか。
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南方熊楠—日本人の可能性の極限
リンク

(前略)
日本民俗学の創始者である柳田國男は、自身も時代を超えた偉才であるが、同時代を生きた南方熊楠との交流を通じて、熊楠の尋常ならざる破格の能力に賛嘆を惜しまなかった。柳田は熊楠を評して「日本人の可能性の極限」と述べた。まことに熊楠は日本人の潜在能力を極限まで開花させた稀有の人物であった。日本人の中にライプニッツやフンボルトのような普遍学の天才を探すとしたら、南方熊楠をおいて他には考えられないのである。

(中略)
▼近代科学を超越する思想

明治時代の海外留学といえば欧米の大学で学位を修めて戻ってくることが目的となっていて、南方熊楠のように純粋な学問的関心だけで欧米に滞在しただけで、なんの学位も名誉も得ることなく帰国した彼に対して、世間は冷たかった。しかしそんなことを気にする熊楠ではなかった。和歌山に戻った彼は緑深い熊野の山中に分け入って、植物採集と研究に明け暮れる日々を送る。

熊野の那智にはその当時広大な原生林が広がり、地衣類や粘菌類の宝庫であった。熊楠は那智神社脇の大阪屋という宿屋を拠点として、ほとんど単独で山中に植物の採集に出かけた。夜は灯火を灯しては顕微鏡による観察と標本資料の作成に没頭した。山中に持ってきた少数の書物の中でも特に華厳経の研究書(法蔵著『華厳五教章』)を熟読して、仏教哲学を研究する。完全な孤独のうちにあって、熊楠の精神は冴え渡っていた。知的能力は異常な昂(たか)まりを見せ、独創的で破天荒な思考が泉のごとくこんこんと湧き出てきた。

その独創的な思考を、熊楠は京都の高山寺住職である真言僧・土宜法龍(どき・ほうりゅう)への手紙に書き綴(つづ)った。長大な巻紙に記されたその手紙は長いものでは10メートルを超え、それを書き上げるために熊楠は何日も徹夜を重ねても疲れなかった。

手紙の内容は多岐にわたっているが、最も重要なのは、近代科学の根底を仏教思想によって再点検し、その限界を明示するだけでなく、限界を突破したところに構想される未来の科学の構造を描き出そうとする部分に見ることができる。

彼は西洋近代科学の本質を事物の因果関係の追求のうちに見出している。しかし因果関係は世界の一面を表しているにすぎない。仏教思想が示すように世界の実相は因果を超えた縁起の中にある。縁起はこの世界に生起する全ての事物が互いに縁起によって関係し合っているという認識に立つ。この縁起的世界観に立つとき、科学の構造もより複雑なものに拡張されていかなければならない。そのような拡張された「来るべき科学」の構造を明示するために、熊楠は手紙の中で比喩やグラフィックや高階論理などを駆使した。とりわけそこに描かれたマンダラ状のグラフィックは印象的であり、現代の研究者はそれを「ミナカタ・マンダラ」と呼んで、その解明に努めている。

(以後略)
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(引用以上)
 
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